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アマナとひらく「自然・科学」のトビラ
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宇宙構想会議 2050③後編

宇宙構想会議 2050 ③

ALE 岡島礼奈と描く青写真
 
ゲスト
佐宗邦威さん、高梨直紘さん
(後編)

構成・文/久保田 和子 写真/猪飼 ひより(amana)

ALE(エール)代表の岡島礼奈さんが、各分野の識者に尋ねて未来の青写真を描くシリーズです。第3回のゲストは、共創型戦略デザインファーム BIOTOPE代表の佐宗邦威さんと東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム特任准教授の高梨直紘さん。天文学の存在意義を考えた前編に引き続き、人間の知的探究心について哲学的に考えます。

「理想」について考える練習を

>>宇宙構想会議 2050 ③(前編) からの続き

岡島 そう言えば、『三体』という中国のSF小説、お二人は読まれましたか?

佐宗 読んでみたいなと思っていながら、まだなんです。

『三体』劉 慈欣 著、大森 望+光吉さくら+ワン・チャイ 訳(早川書房) 古典力学の「三体問題」を題材に、3つの太陽を持つ異星を舞台にしたVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは? アジア圏のSFとして初のヒューゴー賞長篇部門に輝いた、現代中国最大のヒット作品。待望の翻訳続編『三体Ⅱ 黒暗森林(上下巻)』が6月18日に発売(写真:神吉弘邦)

『三体』劉 慈欣 著、大森 望+光吉さくら+ワン・チャイ 訳(早川書房)
古典力学の「三体問題」を題材に、3つの太陽を持つ異星を舞台にしたVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは? アジア圏のSFとして初のヒューゴー賞長篇部門に輝いた、現代中国最大のヒット作品。待望の翻訳続編『三体Ⅱ 黒暗森林(上下巻)』が6月18日に発売(写真:神吉弘邦)

岡島 『三体』の世界では、天文学の発展が重要な鍵を握っているんですが、実際に昔の中国で「天文学が発展しなかった理由」の説*1 が面白かったんですよ。ある時代の帝が、自分が中心でいるために、天文学者の間で有利だった説を跳ねのけたそうです。そのせいで科学者たちが「どんな発見をしても、王様の意見のほうが強いと自分たちの研究が日の目を見ることはないだろう」と意気消沈し、なかなか研究が進まなかったということらしいです。

*1 中国における宇宙論

「六世紀に梁の武帝が学者を集め、両説の優劣を討論させたことがあった。天文学者の議論では渾天説が有利であったが、皇帝自身は自ら信じる蓋天説を最後の段になり援護した。この出来事以降、宇宙論をめぐる論争は無益で不毛なことと天文学者の間でみなされるようになった。官僚の一員としての彼らの任務は、造暦と占星であり、そのためには天体の位置と運行を正確に把握し計算しさえすればよい。その背後の宇宙の構造の問題は棚上げしてもかなわないし、その探求は彼らの直接の職分からは外れることと了解された。」
『〈科学の発想〉をたずねて 自然哲学から現代科学まで』橋本毅彦 著(放送大学叢書)p. 57


高梨 その観点で言えば、ガリレオは時の権力に認められなくても研究を続けていましたよね。コペルニクスは、現実を説明できることよりもモデルの美しさにこだわっている。プラトンのような「この世を超えた理想世界」のようなものを想定できるか否かは、科学の発展に重要な役割を果たしたんだと思います。

佐宗 それって「イデア*2」のことですか?

高梨 そう、イデア。理想ですね。そもそも「理想」という概念自体、明治時代になってから日本語に翻訳されたので、東洋にこの発想はなかった。目の前に見える現実を「超えたもの」を発想する動機がなかったのでしょう。西洋にその発想があったのは、プラトン以来の伝統だと理解しています。

佐宗 いろんな文献を読んでも、それは感じます。比較的、日本は自然にも恵まれていて、コミュニティーにあるものを共通で使いながら回す、言わば「今ある関係性から最適なものを作っていこう」という考え方が強かったと感じます。だから「理想」のように「絶対的な何か」を作らなくて良かった。複数ある事柄から、うまく問題点を調整していくという「知恵」が江戸時代くらいからずっと日本の考え方として根付いていると思います。

岡島 私たちの文化に、そもそも「理想」という概念が根ざしていないんですか?

佐宗 でも、今の時代、個人個人が「理想」を作っていかないと楽しくないし、生きていけない。理想そのものが「人生を満足させる」ために重要な役割になっていると感じます。だから、やっぱり「理想を考える練習」をしていかないといけない。そのためにも「宇宙」というメディアは、よくわからない「大いなること」を考えるきっかけになっていけそうです。

*2 イデア

プラトン哲学で、時空を超越した非物体的、絶対的な永遠の実在。感覚的世界の個物の原型とされ、純粋な理性的思考によって認識できるとされる。中世のキリスト教神学では諸物の原型として神の中に存在するとされ、近世になると観念や理念の意で用いられるようになった。
出典:『デジタル大辞泉』(小学館)


知りたいという「欲望」

高梨 なんかそういうことを考えていると、これって日本人がようやく「大人になった」ということかな、と思うんだよね。

岡島 と言うと?

高梨 大きく分けると、2つの意味がある。1つ目は、日本人は「欲望」に気がついたということ。2つ目は、その欲望を解放できるようになったということかな。

高梨 ある哲学の先生がおっしゃっている話で面白いなぁ、と思うのは、「欲求」と「欲望」は違うものだという話。「欲求」というものは、言うならば「満たすことができる」もの。一方で「欲望」の場合はというと、自己完結していない。「他人が欲望しているものを、欲望する」という構造をしているので、反響し合うことで永遠に満たされることがない、とその先生はおっしゃるわけです。

佐宗 そうか、他者の存在が影響してくると。

高梨 生まれた瞬間から一人きりで無人島生活をしていて「自分以外の存在」を知らない場合は、「欲望」的な発想は、そもそも発生しないのかもね。他者を感じられて、初めて無限の欲望は立ち上がる。そして、その無限の欲望が対象にできるもの、つまり「果てなく欲することができるもの」があれば、欲望は無限に解放されるんじゃないかな、と。

岡島 とても面白いですね。欲望の具体例とは、いったい何ですか?

高梨 例えば「お金」は、欲望を満たしてくれる対象の一つでしょうね。しかも、大昔の巨石のお金などではない記号化されたお金は、今や誰でも無限に所有することが原理的には可能になっている。いつまでも果てしなく欲することができるので、お金はある時から欲望のパートナーになったと言えるんじゃないかな。

西太平洋ミクロネシア連邦のヤップ島に伝わる巨石の「貨幣」。直径は60cm〜4m弱、大きいもので重量5tに達する。所有者と譲られる者の話し合いで譲渡条件が決定。重すぎて動かせない場合、所有権のみが移転する。フェリックス・マーティン著『21世紀の貨幣論』、カビール・セガール著『貨幣の「新」世界史』でも高度なマネーシステムとして紹介。東京・日比谷公園内に、日本の委任統治領だった1925年にヤップ島から寄贈された石貨が屋外展示されている ©︎ Michael Runkel/robertharding /amanaimages

西太平洋ミクロネシア連邦のヤップ島に伝わる巨石の「貨幣」。直径は60cm〜4m弱、大きいもので重量5tに達する。所有者と譲られる者の話し合いで譲渡条件が決定。重すぎて動かせない場合、所有権のみが移転する。フェリックス・マーティン著『21世紀の貨幣論』、カビール・セガール著『貨幣の「新」世界史』でも高度なマネーシステムとして紹介。東京・日比谷公園内に、日本の委任統治領だった1925年にヤップ島から寄贈された石貨が屋外展示されている
©︎ Michael Runkel/robertharding /amanaimages


高梨 そして、人間にとって、もっと根元的な欲望と言えるのは、「知る」ということなんじゃないかと思うわけです。知ることも、お金と同じく「果てがない」。無限に解放できる「好奇心」こそ、お金ができるずっと前からあった欲望のあり方だと思うんですよ。

岡島 なるほど。無人島に一人でいたら「好奇心」は発生するんですか?

高梨 僕の考えだと、あんまり「発生しない」んじゃないかな。日々の暮らしのなかで自然と身についたことがすべてで、自分よりも何かを知っている存在がいないのであれば、それ以上知りたい、学びたいという欲望は生まれてこないんじゃないかな、と。わかんないけど。

岡島 それは確かに、無人島に生まれてみないとわからないでしょうね。

高梨 でも、この話を現実世界に当てはめて考えると、少し恐いかもね。

佐宗 どういう恐さでしょう?

高梨 これから、さまざまな分野でさらに多くのことがわかっていけば、そのうち……と言っても、すごい先の話だとは思うけど、地球のことが「知り尽くされる」時代だって来るかもしれない。欲望の対象としての「未知なるもの」がほとんど残っていない世界って、なんか怖いな、と。

岡島 それで、「宇宙」が必要なんだ。

1972年に木星に接近通過した惑星探査機「パイオニア10号」のイメージ図 ©︎ The Granger Collection/amanaimages

1972年に木星に接近通過した惑星探査機「パイオニア10号」のイメージ図
©︎ The Granger Collection/amanaimages

高梨 地球の外にまで目を向けると、まだまだ宇宙はいっぱい「楽しめる」。無限に膨張してるしね(笑)。「知りたい」という欲望を満たしてくれる相手として、人々の好奇心が宇宙にたどり着くのは必然と言えるのかもね。

岡島 宇宙は「果てのない欲望」を満たすための、一番いい相手になると。

高梨 うん、そう思うと楽しい。もっと言えば、僕が思う、神じゃない方向性での究極の「他者」は、宇宙のどこかにいると思うとしばらく楽しいだろうな、と。

佐宗 そうかもしれませんね。一神教的ではない、複数の者が存在する世界観で見ると、宇宙自体と共存していこう、という「発想」も生まれてきます。

高梨 すごくすっ飛ばして言えば、そうした世界観に新しい時代の倫理観や思想を作っていくためのヒントがあるのかもしれない。


時間の捉え方が社会を形作る

佐宗 最近言われている「時間は存在しない*3」という考え方も、新しい時代で進化した考え方になるんでしょうか。

*3 『時間は存在しない』

一般相対性理論と量子力学の統一理論として「ループ量子重力理論」を提唱するイタリア出身の物理学者、カルロ・ロヴェッリ(仏エクス・マルセイユ大学理論物理学センター量子重力理論研究グループ長)による世界的ベストセラー(冨永 星 訳)の邦題。物理学的に「時間は存在しない」という考察を述べた後に、哲学や脳科学などの知見を援用して「人間はなぜ時間を認識するのか」を論じている。

岡島 あっ! それは今、私も興味があって。1つには、時間が連続的な現象であるということは脳の錯覚で、「今」というものを、脳が勝手に「時間」の感覚に変換しているだけであると。もう1つが、「高さや場所によって、時間の流れ方は違う」という考え方だと聞いています。

高梨 うーん、そうねぇ。後者から言うと「重力の強さに応じて、時間の流れ方が違う」というのは、すでに一般相対性理論で明らかな事実ですね。かつてのニュートン的な世界観では、「時空」とは神が与えた絶対的なものであり、伸びたり縮んだりする類いのものではなかった。そこに疑いを差し挟み、そうではないと説いたのがアインシュタインのすごいところですよね。

理化学研究所と東大の共同研究グループは、島津製作所と共同で18桁精度の超高精度な可搬型光格子時計(100億年に1秒のずれに相当)を開発。東京スカイツリーの地上階と地上450メートルの展望台に設置した2台の時計の進み方の違いを測定し、従来の衛星を使った実験に迫る精度で一般相対性理論を検証することに成功した。研究成果は、2020年4月6日発行の英科学誌「Nature Photonics」に掲載(2020年4月7日 島津製作所プレスリリース) ©︎ Nopparat Jaroensakpaisan / EyeEm /amanaimages

理化学研究所と東大の共同研究グループは、島津製作所と共同で18桁精度の超高精度な可搬型光格子時計(100億年に1秒のずれに相当)を開発。東京スカイツリーの地上階と地上450メートルの展望台に設置した2台の時計の進み方の違いを測定し、従来の衛星を使った実験に迫る精度で一般相対性理論を検証することに成功した。研究成果は、2020年4月6日発行の英科学誌「Nature Photonics」に掲載(2020年4月7日 島津製作所プレスリリース
©︎ Nopparat Jaroensakpaisan / EyeEm /amanaimages


高梨 でも、前者の脳の錯覚の話とかになると、今度は認識論の話になってくるので、「そういう言い方もできるよね」としか言えないんじゃないかな。「今日は楽しかったなぁ」と思うときにあっという間に過ぎる時間もある一方で、時計によって正確に刻まれる時間もある。こうした「カイロスとクロノス*4」のような「主観的時間と客観的時間」を行き来して人間があるのは、面白いよね。

*4 カイロスとクロノス

ギリシャ語で「時間」を表す2つの単語。カイロス(Kairos)は人間が感じる「主観的な時間」であり、過ぎる速度だけではなく、繰り返したり、逆流したり、止まったりする。一方のクロノス(Chronos)は時計が時を刻むような「客観的な時間」で、一定速度で過去から未来の一方向へ流れるもの。

 
岡島 
なるほどなぁ。

高梨 我田引水すれば、こうした「時間はどのように流れているのか」という問題を最初に認識したのも、天文学だと思いませんか? 時間というのは、天体の動きを観察することで生み出された概念だと言って良いと思います。

佐宗 本当ですね。僕はライフスタイルを語るうえで、「時間の認識論」は大切だと思っています。近年「秒で」という若者言葉が生まれたほど、ネット環境下で生活していると、まさに秒単位で世界が動いていく。それによってライフスタイルや時間の認識の仕方も変わっていると思うんです。仮に、宇宙に住んだとすると、時間の流れ方が変わって人の「性格」も変わるんじゃないか。

高梨 時間の流れ方自体はブラックホールの周りとか極端な場所に行かないとあんまり変わらないと思うけど、火星とか地球ではない他の惑星の上で、24時間周期じゃないリズムが刻まれるようになったら、いろいろ影響はあるかもね。

岡島 私も、時間の感覚は、惑星の持つ重力が異なれば、地軸の回転も異なるし、太陽との距離も異なるので、まったく異なると思います。地球上だって、北極や南極には「白夜」があるし、場所や気候によって時間の持つ性格は全然違う気がしますよね。

高梨 江戸時代までは、日の出から日の入りまでを等分に割って時刻を決めていたので、季節によって「一刻(いっとき)」の長さが違っていました。その時代に比べれば、時計が私たちの生活の中に当たり前のように入って来て、一定のリズムで時間を刻み始めたことで、間違いなく人々の生活は変わったんだと思います。例えば、「遅刻」の概念なんかは、大きく変化したんじゃないかな。

高梨 もっと根源的なことを考えると、「年齢」で人をグルーピングする発想なんかも、年という単位での時間の流れを認識したからですよね。もし、年齢がさっぱり認識できない世界ならば、全然違う基準で人々をグルーピングするようになるかもね。


もしも、ワープが実現したら?

佐宗 ALEのマインドマップを作るとき、将来は「ワープ*5」などが生まれそうだという意見もありました。

岡島 ワープは面白いですね。今の物理学で実現は難しいかもしれませんけど、全然違う何かが生まれるかもしれないことを信じながら生きていきたいです。

*5 ワープ

SF小説や映画に登場する “超光速航法” のこと。空間を歪ませて、光速を超える速さで航行する。映画『スター・トレック』シリーズの「エンタープライズ号」や『宇宙戦艦ヤマト』シリーズの「戦艦ヤマト」などが多用して、度重なる危機を切り抜ける。

ワープの実現性について、NASAの研究者による解説(英語)
https://www.nasa.gov/centers/glenn/technology/warp/warp.html
NASAのチームが描いたとされる、ワープ航法が可能なコンセプト宇宙船「IXS-110エンタープライズ」号の姿が、2013年の動画(40分13秒あたりから)に登場
https://youtu.be/9M8yht_ofHc?t=2414

 
高梨 
ワープか……まぁ、人間が想像できたことだから、可能性はゼロではないと思うけど、どうかな(笑)。目が覚めたら、6時間くらいの時間が瞬時に過ぎていたという経験はないです?

岡島 それはよくあるんですけどね!

高梨 でも、そういう身近なところから「ワープ」のような考え方は生まれたと思うんです。「ハッ!」っと気がつくと時間が連続していなくて、時の分断が起きている。そういう体験をして、その間に自分が別の場所に移動していたら「ワープした」と思えるかもしれない。

佐宗 みなさん、ワープできたら何がしたいですか? 僕は江戸時代に行ってみたいんですよ。その時代を見るだけでもいいので、ワープしてみたい。

高梨 僕は趣味が釣りなので、毎週のように八丈島へワープして釣りに行きたいですね。

岡島 私は、ALEとして系外惑星に行って「生き物を見るツアー」とかをやりたいです。

高梨 次世代望遠鏡が完成すれば、太陽系外惑星の大気の成分を分析することが今よりもずっとやりやすくなる。もし、その大気の中に生物由来と思われるものがあれば、生き物がいる証拠になるかもしれない。そうすれば、まぁ、情報だけになっちゃうけど、ワープの完成を待つよりもずっと早く、系外惑星の生き物の存在を知ることができるのかもね。

パイオニア10号・11号に搭載された金属板による地球外知的生命への “挨拶状” は、天文学者でSF作家のカール・セーガンによる発案。太陽系図、銀河系中心と14個のパルサーに対する太陽の相対位置などが刻まれている。高梨さんの天文学普及プロジェクト(天プラ)では、このメッセージを元に「銀河系で迷子になりそうな貴女のためのタイツ」を製作、オンラインで販売 ©︎ The Granger Collection/amanaimages

パイオニア10号・11号に搭載された金属板による地球外知的生命への “挨拶状” は、天文学者でSF作家のカール・セーガンによる発案。太陽系図、銀河系中心と14個のパルサーに対する太陽の相対位置などが刻まれている。高梨さんの天文学普及プロジェクト(天プラ)では、このメッセージを元に銀河系で迷子になりそうな貴女のためのタイツを製作、オンラインで販売
©︎ The Granger Collection/amanaimages


2050年までにしたいこと

高梨 起業してから数年が経った佐宗くんは、今、仕事が楽しい?

佐宗 楽しいですよ! さまざまな企業のブランディングをお手伝いしているので、直接いろんな分野の世界観が聞けることは、とても楽しい経験です。例えば、先日は「街づくり」というキーワードが出てきました。そのときも、突き詰めていくと「そもそもどういう生き方がいいのか?」という哲学の話になってくるんです。今日も天文学的な視点から哲学論を聞くことができ、バラバラなことをしているかのように見えたものが、すべて繋がっていった。この満足感で、胸が高鳴りっぱなしです。

佐宗さんの著書『VISION DRIVEN INNOVATION ひとりの妄想で未来は変わる』(日経BP)には、岡島さんとの対談形式で、ALEのミッション・ビジョン・バリューがどう決まったかが紹介されている

佐宗さんの著書『VISION DRIVEN INNOVATION ひとりの妄想で未来は変わる』(日経BP)には、岡島さんとの対談形式で、ALEのミッション・ビジョン・バリューがどう決まったかが紹介されている

岡島 この本には「野望」の話を書いていましたよね。それを最後に少し聞かせてください。

佐宗 地球のこれから20年、30年先の課題は「持続可能性」になってきます。でも、エネルギー問題に取り組むだけでは、おそらく解決するのは無理な気がしていて。そう考えると、人が社会や経済をどう捉えるかという「認知転換」をやっていかなければならないと僕は感じています。そのために、世の中の見方を変えられるストーリー作りやブランディングをしていく。それが今の野望ですね。

岡島 2050年までに、その認知転換が順調に進んでいったら、例えば、地球上の人が宇宙に住み始めたとき、どんな宗教が生まれているんだろうね?

高梨 いったい、どんな学校ができるのかなぁ。

佐宗 その学校対抗で、ロボコン(ロボットコンテスト)を宇宙でやったら面白いよね!

最後は、同級生ならではなのか、
これから作られていく未来の学校の話で笑い合っていた。

隣同士に机を並べて、
何度も問題を解き直して、気づいたら消しかすだらけになっていた机や、
付箋だらけになっていった本の山や資料の束……

その光景が不思議と見えて来そうなほどに、
未来の学校を妄想する3人の姿は、
無邪気で、真剣で、楽しそうで、
学生時代へワープしたのではないかと思わずにはいられなかった。


Profile
Interviewer
岡島 礼奈 Lena Okajima

1979年鳥取県生まれ。株式会社ALE 代表取締役社長/CEO。東京大学大学院 理学系研究科 天文学専攻、理学博士(天文学)。卒業後、ゴールドマン・サックス証券戦略投資部で債券投資事業、PE業務などに従事。2009年より新興国ビジネスコンサルティング会社を設立、取締役。2011年9月に株式会社ALE設立。世界初となる「人工流れ星」プロジェクトに挑戦している。
http://star-ale.com

Writer
久保田 和子 Kazuko Kubota

バリスタ。フリーライター。「地球を眺めながらコーヒーが飲める場所にカフェを作りたい」その夢を実現するために、STARBUCKS RESERVE ROASTERY TOKYOでバリスタをしている。本サイトで「バリスタの徒然草」を連載中。「人は良くないことを考えるときに下を向き、いいことを想像するとき、上を向くのだそうだ。未来を想像し、上を向き、語り合う3人の姿を見て、知識を詰め込むために机にしがみつき、下ばかりを向かせてきた今までの教育から、この日のディスカッションのように、直接向き合って語り合い、上を向いて、想像し続けられる力をつけられる教育になっていてほしいと、心の中で熱く願った」
http://bykubotakazuko.com

Photographer
猪飼 ひより Hiyori Ikai

amanaフォトグラファー。「3人のどんどん弾んで宇宙のように広がっていく会話に、私も気づいたら引き込まれていました。この先の可能性に期待しながら、将来に向けて自分にできることを精一杯やろうと思います」
https://amana-visual.jp/photographers/Hiyori_Ikai

Editor
神吉 弘邦 Hirokuni Kanki

NATURE & SCIENCE 編集長。コンピュータ誌、文芸誌、デザイン誌、カルチャー誌などを手がけてきた。「座談会が収録されたのは2月頭。終了後の打ち上げの席では、さらに話が広がりました。そうした気軽な場を持つことが難しい日常になりましたが、オンラインで読者のみなさんとも共有できると楽しいだろうなと “妄想” する今日この頃です」

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