シカの角が、
毎年生え変わる不思議
『プチペディア』で迫る、
昆虫・植物・動物のヒミツ
©︎masuda modoki/nature pro. /amanaimages
『プチペディア』で迫る、
昆虫・植物・動物のヒミツ
シカの角は、1年ごとに新しく生え変わるのをご存知でしたか。せっかく立派に成長した角なのに、毎年なぜ更新する必要があるのでしょうか? NATURE & SCIENCEが手がける『PETiT PEDiA せかいの動物』(アマナイメージズ)からの転載記事です。
ウシの仲間のほとんどは、オスもメスも角を持ちますが、シカの仲間でメスが角を持つのはトナカイだけです。
そのため、シカの角の役割は、オスとしてのシンボルや、戦う際の武器だと考えられています。
ウシの角は、複雑に折れ曲がることはあっても枝分かれはしません。
でも、シカの角は枝角(えだづの)と呼ばれ、体の成長に合わせて木の枝のように枝分かれします。
また、ウシの角は頭蓋骨の突起に角質(ケラチン)の鞘(さや)がかぶさったもので一生伸び続けますが、シカの角は頭蓋骨の台座の上に骨質(カルシウム)が載ったもので毎年生え変わります。
ニホンジカ(エゾシカ)の場合、春になると皮膚に包まれた袋角(ふくろづの)が作られます。
この皮膚に流れる血液から栄養をもらいながら、袋角は成長を続けるのですが、秋になると袋角の皮膚は、こすり落とされ、枝角として完成します。
いったん完成した枝角は、皮膚からの栄養が断たれているため、さらに大きく成長させることはできません。
さらに立派に成長させるために、翌春に枝角をポロリと落とすのです。
シカの角は、体の成長とともに大きくなり、枝角の分岐は最大で3箇所、先端部分は4箇所まで枝分かれします。
体の成長に合わせて、毎年、新しくて立派な角に作り直しているのですね。
この記事の元になった本は……
プチペディアブック「せかいの動物」(アマナイメージズ)
「誕生・子育てのふしぎ」「成長のふしぎ」「能力のふしぎ」「生活のふしぎ」「寿命のふしぎ」の5つの章に分け、動物に関する疑問に最新データを交えて回答しています。ぜひ、お子さんと一緒にコミュニケーションしながら読んでみてください。好奇心を育み、動物に興味を持つきっかけとなるはずです。
[企画・編集]ネイチャー&サイエンス
[監修]成島悦雄(元井の頭文化園園長)[文]アートバーグ 丸山貴史
[判型]B6変 [ページ数]152ページ
本体価格 ¥1,400(+税)