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アマナとひらく「自然・科学」のトビラ
チョウは産卵場所をどう見分ける?

チョウは産卵場所を
どう見分ける?

『プチペディア』で迫る、
昆虫・植物・動物のヒミツ

文/NATURE & SCIENCE 編集部

©︎nanba yukio/nature pro. /amanaimages

チョウの幼虫は食べる植物が決まっています。例えばナミアゲハは、カラタチやサンショウなどのミカン科の植物を食べますが他の植物は食べません。親である成虫のチョウは、どうやってその植物を見分けて卵を産み付けるのでしょうか。NATURE & SCIENCEが手がける『PETiT PEDiA にほんの昆虫』(アマナイメージズ)からの転載記事です。

チョウの幼虫は、食べる葉(食草)の種類が限られているため、産卵場所は幼虫が食べる植物でなくてはなりません。

例えばナミアゲハの場合、幼虫が食べるのはカラタチやサンショウなどミカン科の植物、キアゲハはニンジンなどのセリ科の植物と決まっています。

ナミアゲハの複眼 ©️kitazoe nobuo/Nature Production /amanaimages

ナミアゲハの複眼
©️kitazoe nobuo/Nature Production /amanaimages

それでは、花の咲いていない時期に、チョウは植物の種類をどうやって見分けているのでしょうか?


なんと、脚で味を確かめる!

成虫は空を飛びながら、まず複眼でそれらしい植物を探します。そして近づいて触角で匂いを嗅ぎ、食草らしいと判断したら、その葉に止まります。

さらに、味覚を持つ「感覚毛」と呼ばれる毛が生えた前脚で、トントンと葉を叩いて味を確かめて食草だと確認するのです。

ユズの若葉に産みつけられたナミアゲハの卵 ©️imamori mitsuhiko/Nature Production /amanaimages

ユズの若葉に産みつけられたナミアゲハの卵
©️imamori mitsuhiko/Nature Production /amanaimages

食草の確認が終わると、1本の木に数個づつ卵を産みます。

アゲハの仲間の産卵数は200個程度。昆虫の中では平均的な個数ですが、1本に数個ずつを、移動しながら産み付けるというのはかなり大変な作業です。


ミカンに産卵するナミアゲハ ©︎ito fukuo/Nature Production /amanaimages

ミカンに産卵するナミアゲハ
©︎ito fukuo/Nature Production /amanaimages

アゲハの仲間の幼虫は大型で食欲旺盛なため、1本に何個も産み付けるとすぐに葉を食べ尽くしてしまい、他の場所に移動しなければならなくなります。

この移動は幼虫にとって大きなリスクを伴いますから、親はできるだけ別の木に卵を産むのでしょう。

この記事の元になった本は……
プチペディアブック「にほんの昆虫」(アマナイメージズ)
昆虫の成長ステージである卵、幼虫、さなぎ、成虫の4つの章に分けて、さまざまな疑問に回答しています。取り上げた疑問は単なる雑学的なものではなく、昆虫の全体像を知るための近道となるものです。ぜひ、お子さんと一緒にコミュニケーションしながら読んでみてください。好奇心を育み、昆虫に興味を持つきっかけとなるはずです。
 

[企画・編集]ネイチャー&サイエンス
[監修]岡島秀治(東京農業大学教授)[文]丸山貴史(アードバーグ)
[判型]B6変 
[ページ数]152ページ

本体価格 ¥1,400(+税)

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NATURE & SCIENCE 編集部

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