森の中に漂う、
良い香りの正体。
『プチペディア』で迫る、
昆虫・植物・動物のヒミツ
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『プチペディア』で迫る、
昆虫・植物・動物のヒミツ
森の中に入ると、独特な木の香りを感じます。同時になんともいえない清々しさやリラックス感を感じるものです。でも、それはなぜでしょうか? NATURE & SCIENCEが手がける『PETiT PEDiA にほんの植物』(アマナイメージズ)からの転載記事です。
森の中に入ると、独特な木の香りを感じます。森の緑色や木陰の涼しさとも相まって、なんともいえない清々しさやリラックス感を感じるものです。
はたして、この香りは正体はなんでしょうか?
その正体は、森の木々が放出する「フィトンチッド*1」です。
フィトンチッドの成分は、木から発散される揮発性のテルペン類*2 。植物によって成分構成は異なっていますが、それぞれ疲労回復、集中力増加、鎮静、脳内α波の増加などの効果があります。この香りは精油として、アロマテラピーにも採り入れられています。
*1 「フィトンチッド(phytoncide)
植物が傷つけられた際に放出し、微生物の活動を抑制する作用(殺菌作用)を持った揮発性の化学物質。旧ソ連の生物学者、ボリス・ペトロヴィッチ・トーキンが20世紀前半に発見したとされ、森林浴の効用の源とされる。
*2 テルペン (terpene)
2つの二重結合を持つイソプレン(CH2=C(CH3)CH=CH2)を構成単位とする炭化水素で、植物や昆虫、菌類などによって作り出される生体物質。イソプレノイド。
フィトンチッドの「phyto」はギリシャ語で「植物」を、同じく「cide」は「殺す」を意味し、森からイメージする爽やかなイメージとは、かなりかけ離れています。
木の揮発成分によって、周囲の細菌などが死ぬ現象が起ったことから発見されたので、こんな名前がつけられたのだそうです。
木の良い香りは、植物にとっては「虫除けスプレー」のようなもので、病原菌やカビなどから自分の体を守るための防衛手段なのです。
この記事の元になった本は……
プチペディアブック「にほんの植物」(アマナイメージズ)
植物のステージであるたねや実、発芽、生長、開花、枯れの5つの章に分けて、さまざまな疑問と解答を紹介しています。取り上げた疑問はトリビア的なものではなく、植物の全体像を知るための近道となるものです。ぜひ、お子さんと一緒にコミュニケーションしながら読んでみてください。好奇心を育み、植物に興味を持つきっかけとなるはずです。
[企画・編集]ネイチャー&サイエンス
[監修]小林正明(前飯田女子短期大学教授)[文]大地佳子
[判型]B6変
[ページ数]152ページ
本体価格 ¥1,400(+税)