“一匹狼”って本当にいるの?
『プチペディア』で迫る、
昆虫・植物・動物のヒミツ
©︎Mint Images/amanaimages
『プチペディア』で迫る、
昆虫・植物・動物のヒミツ
オオカミは、北半球の森林や草原に広く分布するネコ目イヌ科の動物です。1組の夫婦とその子どもたちで群れをつくり、非常に広い縄張りを持つ彼らに「一匹狼」と称されるような、孤独でクールな一面はあるのでしょうか? NATURE & SCIENCE が手がける『PETiT PEDiA せかいの動物』(アマナイメージズ)からの転載記事です。
オオカミの群れは、1組の夫婦とその子どもたちで形成され、その多くが4〜8頭程度です。
彼らの狩りは嗅覚と脚力による追跡型で、獲物が疲れたところで代わる代わる襲いかかります。そのため、ネズミなどを捕まえるのはあまり得意ではなく、獲物の多くはシカやイノシシなどの中型の草食動物です。
オオカミは1回に4〜6頭の子どもを産み、だいたい1年で親と同じ大きさになります。
そして、2年で性成熟すると、親元に残るか離れるか、決断を迫られます。この時に、群れを出たオオカミが一匹狼となるのです。
一匹狼が繁殖するには、同じ境遇の異性の一匹狼を見つけなければいけませんから、簡単なことではありません。
オオカミの群れは広い縄張りを持っており、群れを乗っ取る可能性がある一匹狼を排除しようとします。そのため一匹狼は、群れのオオカミに見つからないように目立つ行動は避け、苦手な小動物を狩って過ごします。
つまり一匹狼とは、多くの若いオオカミが経験する、孤独でつらい時期を指す言葉と言えます。
また、一匹狼に群れを乗っ取られたオオカミも、再び孤独な一匹狼に転落する可能性がありますから、実に厳しい社会で彼らは生きているのです。
この記事の元になった本は……
プチペディアブック「せかいの動物」(アマナイメージズ)
「誕生・子育てのふしぎ」「成長のふしぎ」「能力のふしぎ」「生活のふしぎ」「寿命のふしぎ」の5つの章に分け、動物に関する疑問に最新データを交えて回答しています。ぜひ、お子さんと一緒にコミュニケーションしながら読んでみてください。好奇心を育み、動物に興味を持つきっかけとなるはずです。
[企画・編集]ネイチャー&サイエンス
[監修]成島悦雄(元井の頭文化園園長)[文]アートバーグ 丸山貴史
[判型]B6変 [ページ数]152ページ
本体価格 ¥1,400(+税)