きれいで不思議な
冬のできごと
〜冬の自然現象〜
©MASAAKI HORIMACHI/SEBUN PHOTO /amanaimages
〜冬の自然現象〜
寒い冬は、朝起きるのも、休日の外出もおっくうになりがち。でも、ちょっと早起きしたり、いつもより遠出をしたりすると、冬にしか見られないきれいで不思議な自然現象に出あえるかもしれません。
くるくると、ロールケーキのように巻き上がった、かわいらしい形の雪。
イギリスではスノーローラーとよばれています。風で雪がめくれて巻かれた現象で、いくつかの条件がそろわないとできません。春先に比較的よく見られます。
氷が張った湖や池の表面に見られる、放射状や同心円状などの美しいパターン。
薄氷の上に積もった雪が、氷の下のからしみ出す水に溶かされることでできます。
羽毛のような薄い氷の結晶が幾重にもなり、まるで花のように見える現象。
湖面の氷上にできるものが有名で、氷の表面から蒸発した水蒸気が、表面の細かいでっぱりなどにくっついて成長します。北海道の阿寒湖(あかんこ)や屈斜路湖(くっしゃろこ)などでは、氷上にたくさんの白い花が咲いているような美しい光景が見られます。
雪にできる風紋(ふうもん)。シュカブラ(skovla)はノルウェー語で「波」の意味。
山に吹く強い風が雪を飛ばし、運び、美しい波模様をつくります。風の強さや吹き方によって、さまざまな波が描かれます。
樹木を美しくデコレーションする白い氷の結晶、樹氷(じゅひょう)。
樹氷は過冷却の霧が樹木に当たって凍り、くっついたもの。樹氷といえば山形蔵王が有名。アオモリトドマツに雪が入りまじってできた蔵王の樹氷はモコモコと大きく、アイスモンスターとよばれています。
水面にプカプカ浮かぶ、やさしい丸みの氷を蓮の葉に見立てて名付けられたものです。
水面で漂う氷のかたまり同士がぶつかりあって、角がとれ、縁がめくれあがっていくのです。
湖底からわき上がるガスの泡が、凍った湖に閉じ込められたもの。
幾重もの泡が連なり、神秘的な光景をつくります。北海道の阿寒湖や糠平湖(ぬかびらこ)などで見ることができます。
地面からニョキニョキと生えているようなつらら。
洞窟の天上から滴り落ちる水が順々に凍り、上に伸びたもの。何百本、何千本と立ち並ぶこともあります。
主な引用・参考文献:
『雪と氷の世界 雪は天からの恵み』若浜五郎 著(東海大学出版会)
『楽しい気象観察図鑑』武田康男 文・写真(草思社)
NATURE & SCIENCE 副編集長。「冬の自然現象は、キラキラで白くて透明で、どれもきれいです。これらの自然現象、もとはすべて“水”。風や気温や場所などの違いで、こんなにも変化に富んだすがたになるんですね。」