夏の夜の星空体験
−浅間のきらめく星々を撮る−
「星空写真教室」レポート
−浅間のきらめく星々を撮る−
「星空写真教室」レポート
今年度から長野県の御代田(みよた)町で始まった「浅間国際フォトフェスティバル」では数々のイベントが開催されている。8月中旬、自然写真家・環境カウンセラーの牛山 俊男さんを講師に迎え、天体写真のスライドドショーのほか、星空の見方と撮り方を教えるワークショップが開かれた。講師の牛山さん自身によるフォトレポートをお届けします。
現在、開催中の「浅間国際フォトフェスティバル」(2018年9月30日まで)。浅間山に抱かれた御代田町*1の自然のなかで、国内外の写真家たちのアートフォトを楽しめる。週末には、写真を気軽に楽しめるいろいろなワークショップも。
そのなかのひとつで8月11日におこなわれた「星空写真教室」は、御代田の美しい星空を見上げながらの体験型ワークショップ。
ちょうど新月で星空撮影には月明かりの影響もなく、翌々日には真夏の風物詩ペルセウス座流星群*2の極大を控えた絶好のタイミング。
また、今夏は火星が15年ぶりに大接近と、天体ショーに恵まれた夏の夜。前日は激しい雷雨に見舞われたものの、当日は奇跡的に晴れ間が広がった。
*1 御代田町(みよたまち)
長野県北佐久郡にあり「文化・高原公園都市」を掲げる御代田町は、町内のどこからでも見渡せる活火山・浅間山の風土が息づく自然豊かな地域。焼町土器が出土した縄文時代の川原田遺跡や、旧中山道の宿場・小田井宿など、大昔から続く人の営みが感じられる。標高700〜2500mに位置する冷涼で空気が澄んだ高原の立地を活かし、レタスなどの高原野菜の栽培や、精密機器製造など、気候に適した産業がさかんにおこなわれている。
*2 ペルセウス座流星群
毎年夏になると、北東天に昇ってくるペルセウス座付近の一点(“放射点”と呼ばれる)から、流星が四方八方に流れ出るように見えることから「ペルセウス座流星群」と呼ばれている。1月初旬の「しぶんぎ座流星群」、12月中旬の「ふたご座流星群」と並ぶ三大流星群の一つ。活動期間は長く7月17日~8月24日頃までと考えられているが、その中でも特に流星の数が増えるのが8月12日を中心とした3夜ほど。2018年の極大(最もたくさん流れる日時)は8月13日午前10時頃と予想されていた。ちょうど11日が新月にあたり、一晩中月明かりの影響を受けずに楽しむことができる最高の条件だった。
星空写真撮影をマスターしたい参加者が持参のカメラを手に参加。まずは美しい写真を見ながらの星の予習、そして実践的に使える星空写真撮影のレクチャー。
その後は屋外での撮影。夕方になって雲が広がりはじめ、満天の星空とはいかず。しかし参加者たちは、雲の切れ間にきらめく星々を見つけては、思い思い夜空に向けてシャッターを切っていた。
当日見られたのは、夏の大三角や土星、木星など。おだやかな風に流れる雲もまた、夜空の美しさを際立たせていた。
御代田の美しい夜の下での撮影が、参加者の思い出に残ることを願う。
「浅間国際フォトフェスティバル」
http://asamaphotofes.jp
会期:2018年8月11日(土祝)〜9月30日(日)※会期中無休
時間:10:00〜18:00
入場料:無料
会場:長野県北佐久郡御代田町馬瀬口1794-1(旧メルシャン軽井沢美術館)周辺エリア
内容:屋内外でのアート写真展示、写真撮影ブース、ワークショップ、マルシェ等
主催:浅間国際フォトフェスティバル実行委員会
1961年長野県生まれ、自然写真家。「大地から見上げる星空」をメインテーマに、1999年から写真家として活動を開始。書籍・雑誌への作品提供・発表を軸に、講演会や映像ライブ、星空観望会などを展開している。環境省登録の環境カウンセラーでもある。2001年4月1日には長野県富士見高原で、03年10月30日には山梨県甘利山で、本州では極めて珍しい「低緯度オ―ロラ」の撮影に成功した。山梨県韮崎市在住。
NATURE & SCIENCE編集部。子ども向け書籍の編集を多く手がける。児童書、絵本、かわいい生きものなどが得意。特に好きなのはモウコノウマ、おすすめのかわいい生きものはケープハイラックス、ハネジネズミ、クワッカワラビーなど。