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アマナとひらく「自然・科学」のトビラ
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カタログ・パンフレット

ネイチャー&サイエンスが手掛けた仕事|豊後高田市くにさきの鬼

豊後高田市
『日本遺産ストーリーブック』

クライアント : 六郷満山日本遺産推進協議会
プロデューサー : 久原 映美/上野山 光貴/福田 龍太郎(amana)
イラストレーション : 中川学
デザイン : 椎名 麻美
編集 :佐藤 暁(amana)

地域の伝承を“伝わる”本にまとめ、子どもたちの郷土愛を育み、観光誘致につなげるお手伝いをアマナが担当しています。クライアントは大分県豊後高田市教育委員会に事務局のある六郷満山日本遺産推進協議会。国東半島には六郷満山と呼ばれる1300年の歴史をもつ寺院群があり、文化財や「鬼が仏になった」という伝統儀礼・伝承を元にしたストーリーが日本遺産に認定されています。

担当の松本 卓也 様にお話しを伺いました。(2020.10.30)

50年経っても伝わる作品に―――
くにさきの魅力を伝える最良の資料が出来ました!

■アマナに発注した決め手を教えてください
プロボーザルは複数あったのですが、アマナさんの提案が一番具体的で、完成度が高かったのです。仏教世界や民俗学をモチーフにした作品を多く手掛ける絵本作家・中川学先生の美しく独特な作風はもちろんのこと、京都・慈舟山瑞泉寺の住職でもあると言うのが、宗教的な要素の多い「くにさき」の伝承を伝えるには魅力的でした。また、絵本だけで子どもに伝えるのは難しいので図鑑パートを追加すべき、という提案に、なるほど!と思いました。

■実際に制作しての印象は?
1年目は図鑑パートを制作しました。伝承には地域の自然、歴史、宗教などが複雑に関わっているため、盛り込むテーマを整理し、こちらの希望を踏まえて色んなアイディアを出してくれて、どんどん洗練されて行くのが印象的でした―――これがプロの仕事なんだ、と。
こちらの要望通りに作ってくれる業者は多いですが、このように洗練・発展して拡がる仕事はなかなかないもので、出来上がりにも反映されていると思います。

この本の主人公、くにさきの鬼を解説するページ。図鑑パートには自然と風土、歴史、文化、日本の鬼などを分かり易く解説

この本の主人公、くにさきの鬼を解説するページ。図鑑パートには自然と風土、歴史、文化、日本の鬼などを分かり易く解説

2年目にいよいよ、中川先生に絵を描いて頂きました。「くにさき」の文化財は車でしか行けないところが多いので、実際に見に行くには、どうしても保護者の助けが必要です。そこで、親子のコミュニケーションのツールとして、絵本を作る事にしたのですが、先生は京都・慈舟山瑞泉寺の住職でもあるので、お坊さんや仏の世界観が美しく素晴らしいですよね。
小学校高学年をメインターゲットにして作成しましたが、大人が読んでも味わい深い内容になったと感じています。

実際に現地を取材して描かれた絵は、大胆な構図と美しい色彩で躍動感ある「くにさき」の世界観を表現しています

実際に現地を取材して描かれた絵は、大胆な構図と美しい色彩で躍動感ある「くにさき」の世界観を表現しています

■どんな反応がありますか?
当初は地域の小学校・中学校への出前授業に配布するほか、豊後高田市立図書館や国東市の市立図書館(国東図書館など4ヶ所)などに配架するのが目的でした。残念ながら、今年はコロナの影響で出前授業は出来ていないのですが、それでも、地域の子供たちから「知ってるよ」と声を掛けられる事もあります。
また、好評のため販売用に増刷し、六郷満山日本遺産推進協議会のオンラインショップKUNISAKI PEAKS OniLINEにて販売したところ、九州はもちろんの事、全国20県以上の方々から購入頂いています!遠方にお住いの方々にも「くにさき」を知って貰えるのは嬉しいですね。
子供だけでなく大人や、外国の方も含め広く世界へ訴求していきたいですし、購入して頂いた方々に、実際に「くにさき」の日本遺産を観に行くモニターツアーなども組んでみたいです。

■今後の展開を教えてください
現在、豊後高田市立図書館にて、「くにさきの鬼」絵本原画展を行っています(10月3日~11月3日)。10日には、中川先生に来て頂いてワークショップ&サイン会を行い大変好評でした。来春にはシンポジウムの開催も予定しています。いずれは東京でも原画展を行いたいですね。

引続き「くにさき」にご注目ください!

Profile
豊後高田市教育委員会 文化財室
松本 卓也 様

宮崎県佐土原町出身。早稲田大学(日本中世史)での研究で出会った田染荘を追って、大分県豊後高田市に学芸員として就職。景観に関する文化財の保護、文化財を活用した地域振興を担当。「くにさき」の文化・景観を知ってもらうため、日本遺産『鬼が仏になった里「くにさき」』のストーリーを執筆した。
地元の人が普通と思っている文化資源を、デザイン・言語化を通して、世界中(内側にも、外側にも)に伝える仕事をしていきたい。

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